文学研究とオタク商法
オタク商法......カドカワ商法とか言われたりもするが、すなわち設定の断片=材料 を売り、消費者に創作(妄想)させ、消費者はさらなる創作のために材料を買い求める、そんな商法。
たとえば特典で付いてくる一枚絵から、巻末のキャラクターデータから。キャラクターやストーリーの過去や未来、小話、設定など、ちょっとずつ情報がわかってくる。その情報を元に、物語に描かれていない空白をあれやこれや妄想する。二次創作する。
最初から空白は設けられていて、消費者(創作者)はより自分好みの消費対象を創ってそこを埋めることができる。より欲望を満たすことができる。
創作するという快楽も得られる。自己表現も大事な欲求だ。いちから物語を作って、表現していくのは大仕事だし誰でもそんな時間があるわけではない。けれど設定や元となる基本ストーリーが与えられていれば、簡単時短。お手軽に「創作」できる。
(っていうこまでは大塚英志「物語消費論」「物語消費論改」「物語消滅論」
あたりをを参考にしたよ!)
あと近年流行りの擬人化(人間から人間へのキャラ化も含む)ジャンルも、同じ構造だと思う。Wikipediaで年表を見るだけで勝手に妄想して萌えられる世界。
で、これって文学研究とも似てるなって思っている。昨日の
で言ったパターン①(いわゆる純文学)は打ちっ放しで作者も謎、な空白が沢山あって、それを埋めるために研究されるわけだから。自分が一番正しいと思う持論で埋める作業が、研究だから。
つまり文ストのファンが安吾の「不良少年とキリスト」を読んでキャラクターとしてジイドと撃ち合って死んだ織田作と少年マフィア太宰とスパイ安吾に萌えるのと、文学研究者が「不良少年とキリスト」から作家の無頼派三羽ガラスの関係性を考察して燃えるのと、そこに貴賎はないのだなあ。
ところで文スト新刊明後日発売だねやったね!!

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物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」 (角川oneテーマ21)
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