三室山

本を読んだり映画を見たり、鉄道唱歌の旅に出たり

芥川賞マラソン②

芥川賞マラソン① - 三室山

 

第154回(2015下)

本谷有希子異類婚姻譚

読みやすかった。ただし猫が心に刺さってしまった。山行くときは意外と近いねって行ってたのに結局アメリカ戻っちゃうし!!

女の感覚を描く系だけど、選評にもあった夫婦あるあるの恐ろしさがだんだんとホラーになって、あのラスト。野ばらちゃんの「破産」とか村田沙耶香「タダイマトビラ」とかもだけど、こういう収集の付け方嫌いじゃない。パチーン!

揚げ物っていうセンスも良い。ただ最後の花は、揚げ物に比べてベタすぎかなと思ったり。部屋での描写はハッとさせられたんだけど、その後の山では山と花っていうのがありきたりすぎ...?と思ってしまった。でも部屋ではあの花じゃないと綺麗じゃないし....ないものねだりか!

 

 

第154回(2015下)

滝口悠生 「死んでいない者」

正直、中盤で寝た。けれど平行描写、完全なる三人称、無駄を省いたいや省きすぎ!?ってくらいの簡潔な説明口調......ジイドの「贋金つくり」を読み始めた時のショックを思い出した。

多分、常人がやったらバラバラになって読めたもんじゃないんだろうな。ギリギリのところで繋ぎ止めている感じ。イメージとしては操り人形を複雑に動かしている、その操作部分を上から俯瞰で見せられているような......。特に終盤は最初から振り返って、うわっ超絶技巧だったんだ! と気づく。

あと山田詠美が選評で、私が言えたことじゃないけど(未成年たち)酒飲みすぎじゃない? って述べてたの面白かった。確かに飲み過ぎです。

 

 

第153回(2015上) 又吉直樹 「火花」

 私も太宰は大好きなので、随所随所というか総合的に「うわっ 太宰が好きな人が書きそうで、太宰が好きな人が好みそうな小説!」と思った。先輩も無頼みがあるし、なんといっても現実を嘆きつつも架空の希望を謳いあげる全体の雰囲気。これこそ太宰の青春小説っぽい。現実の絶望を描ききらない、強みでもあり弱みだね。

色々と小理論を重ねつつ、芸術共同体理論という大きいラストへ着地するのも模範解答というか、安定感があるのでは。

映画も見たよ! 映画はより、芸術共同体理論を前面に出してる気がした。あと菅田将暉が好き。

 

 

第153回(2015上) 羽田圭介 「スクラップ・アンド・ビルド」

「トーキョーの調教」でも思ったけど、 男だな〜という感想。わざとやっているんだろうし、合ってると思っているし好きだし、悪い意味ではないよう。筋トレも、さすが自分がやってるだけあって描写がリアルで、ちゃんと引き込まれるし最後まで意味があるし。

介護問題って話題になってたけど、介護問題は借りただけで、描きたかったのはやっぱり男の落ち込みと再生なんだろうなあ。

 

 

第152回(2014下) 小野正嗣 「九年前の祈り」

 うーむ。

男から見た女であってリアルじゃないとか、ステレオタイプだとか、みみず描写がしつこいとかはまあ仕方ないんじゃない? と思う。

女ってのは男は女より世界を細かく見れていないと信じきっている生き物なので、その目線からいくと、よく観察しましたね、健闘賞(ただし現代の女をとジェンダーごりごり田舎の差異を、俺はわかっているんだぜふふふんっていう感じを勝手にだけど妄想してイラッとくることもある)って感じ。

島での夢だか現実だかわかんない感じとか、あとはおばちゃんや子供の描写はリアルだった!

けびん君とみっちゃん姉の祈りを被せているようでかぶさってないのとかはわざとなのかな、わざとなんだろうなあ。

 

 

異類婚姻譚

異類婚姻譚

 

 

 

死んでいない者

死んでいない者

 

 

 

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

 

 

 

スクラップ・アンド・ビルド

スクラップ・アンド・ビルド

 

 

 

 

九年前の祈り

九年前の祈り